吟遊写真 | TOP旅行記 > 紅葉の鳴子へ

■1日目
鳴子峡に降っていた雨が、不意に上がった。

厚い雲の隙間から細い光が差し込んで、紅葉に彩られた峡谷が照らされる。
有名なあの橋の頭上には、うっすらと淡い虹。

5分程だっただろうか。

見惚れて、慌ててカメラを構えて。
シャッターを切っている間に空は曇天に戻っていた。



後で宿の女将さんに聞いたところ、
この時期の鳴子の雨は時雨[しぐれ]と言って、降ったり晴れたりを繰り返して降るらしい。
そのせいか、虹はいたるところで見られるそうだ。
知らなかった鳴子の魅力をひとつ発見。
いつもなら残念に思う雨模様の天気も、虹のおかげで楽しくなった。




2008年秋。
一度は行ってみたかった紅葉の鳴子峡へ。
雨に濡れた峡谷の小道をのんびり歩く。
鳴子峡の遊歩道は2007年に落石があって閉鎖、翌年のこの年、新しい歩道が開通された。
かなりきちんと整備されているので、野性味溢れた小道が好きな人には物足りないかもしれない。
とはいえ歩きやすい道は、今日みたいな雨の日には有難い。


ぐるりと一周して橋に戻ると、なんだか物凄い人だかりが。
近づいてみれば三脚がずらりと一列に並んでいた。
どうやら、もうすぐ列車がトンネルを通り抜けるらしい。
慌てて私も人の隙間に入り込み、望遠レンズを取り出した。


トンネル。電車。周りの紅葉を絡めた構図。
いいなと思う位置は限られていて、そういう場所は朝早くから、
この撮影のために来ているカメラマンが場所取りをしている。
いい写真というのは、実力や運も勿論大事だけれど、
それと同じくらい根気と集中力も大事だと思う。
じっくりと腰を据えてひとつの対象を撮る――
でもそれは次の機会に。
今回は鳴子の秋を散策しながら撮るのが目的だ。




鳴子峡から鳴子温泉郷へ続く遊歩道を進む。
カメラ機材の入ったリュックは重いけれど、下り坂なので楽だ。
結構急な階段が続くので、温泉郷→鳴子峡のルートよりも
鳴子峡から下る方が個人的にはオススメ。


気が付くと雨が上がっていた。
強い日差しが、緑と黄と赤の混じった山の斜面を照らす。
光に映える紅葉。
曇天は曇天で本来の色味を見ることが出来るけれど、
青空の中の紅葉も、やっぱり綺麗だ。
うーん、青空の鳴子峡も見たかったな。
既にだいぶ降りてきてしまった遊歩道を見上げて、ちょっと溜息をつく私。

とはいえ流石にもう一度上がるのは大変なので、
青空の鳴子峡は次回に楽しみに取っておくことに。
そのまま残りの道を進んで、――着きました鳴子温泉郷!



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