吟遊写真 | TOP旅行記 > 小倉・森鴎外巡りと、鈍行の旅



激しい雨の音に目を覚ます。
今年の梅雨の九州は、場所によっては警報が出るくらいの土砂降りだ。
窓から見た外は、叩きつけるような鋭さで雨が降り注いでいた。

(このまま、ホテルでのんびりしちゃおう、かなあ…)

なんて思わず考えるくらい。
とりあえず泊まったホテルの中庭を散策するプランは、その場でくしゃりとゴミ箱に捨てた。


  * * *


今回の旅の主目的は、大分で開催される福岡校への参加。
ただ授業の少し前から九州入り出来ることになったので、
「それなら一人旅も、しよう」と、北九州散策プランを旅の前半に詰め込んだ。

ちなみに解説を入れておくと、福岡校というのは、
私が所属している写真スクールの出張授業のようなものだ。
普段は都内での授業だが、先生が九州に出かける時期と同タイミングで
九州に赴くことが出来れば、もれなく九州の大自然の中の野外授業が待っている…という感じだ。

前半の一人旅も、後半の福岡校も。
いろいろあったけれど、今回はその中から…ひとつ。
北九州の小倉観光と、小倉→大分の移動日に費やした旅の中日[なかび]のお話。


  * * *


さて、前述の通り雨である。
……というより、激しく土砂降りだ。

TVをつける。…うん、警報は出ていないみたい。

今日の予定は、小倉観光と大分への移動。
移動は電車に乗ってしまうだけだからともかく、この雨の中を観光か…。
鈍る気持ちが、ちょっぴり浮かぶ。

でも小倉にはどうしても行きたい場所があった。
それは――『森鴎外旧宅』。

小倉にはどんな名所があるんだろう?とインターネットで調べた時に見つけた史跡。
森鴎外が37歳の時、軍医部長として小倉に赴任した際に
借りて住んだ家の母屋が、ほぼ当時のまま残っているという。
昔は文芸部に所属していた私としては、
「鴎外さんと聞いたら、やっぱり寄っていかねばなるまい!」と、妙に意気込んでいたのだった。

そんな訳で……雨を横目に荷造りし、レインコートを着込んで、いざ出発。
駅の観光案内所で配っていた大雑把な街の地図だけが頼りだ。



戻る 次へ